その1では、財産目録と戸籍謄本(生まれてから現在まで)を、生きている間に準備しておけば、相続人(あなたの家族)はとても助かるはずとお話ししました。 その2では、相続人間で遺産分割について、揉め事が起きなくなる方法についてお話します。それは遺言書です。
相続人はそれぞれの事情と思いがあるので、遺産分割についての対立おこる可能性があります。あなた(被相続人)の法的に問題ない遺言書があれば、揉め事は回避できる可能性が高いと思います。 2024年の死亡者数は161万8684人です。これに対して、法的に問題ない遺言書数が16万1631件で約10%でした。あまり多くありませんね。
遺言書は4種類あります。
(1)公正証書遺言(遺言者が公証人役場で内容を説明、公証が遺言書作成保管)
(2)自筆証書遺言で法務局保管(遺言者が手書で作成し署名捺印後、法務局保管)
(3)自筆証書遺言で自己保管か特定人の保管委託
(4)秘密証書遺言で自己保管か特定私的機関に保管委託
16万1631件のうち、公正証書遺言:118,981件(74%)、自筆証書遺言(法務局保管制度利用):19,336件(12%)、自筆証書/秘密証書遺言の家庭裁判所検認:22,314件 (14%)という内訳でした。
遺言書は、財産が沢山ある人に必要で、庶民には関係ないというのが一般的でした。財産が多くなくて、相続人も限られていれば、揉め事も起こらないであろうということです。本質的には今もかわらないように思いますが、その1でお話したように、被相続人(あなた)が知っていて、相続人(あなたの家族等)が知らないことが沢山あると、悲しみに暮れる中で色々なことを調べる苦労は大変だと思います。
相続すると、相続税を税務署に現金で支払う可能性があります。上手に相続しないと、多額の税金を払わなければならなくなります。相続財産に現金が少ないと、相続した不動産や動産を売却して税金を払うことになります。財産調査、戸籍情報収集で苦労した上に、相続税の支払いで悩むことは、被相続人(あなた)生きている間に、準備しておくことにより、かなり軽減できます。
あなたの、相続税対策と遺言書作成がまさにそれです。相続税対策はその3でお話しますので、今回は遺言書作成です。それぞれのメリットディメリットを簡単に説明します。
メリット | ディメリット | |
(1)公正証書遺言 | ・自分で書かなくて良い ・遺言書がなくても検索システ ムで探せる ・謄本を別途保管 ・裁判所の検認が不要 | ・公証人役場で作成 ・費用が数万円発生 ・訂正毎に費用発生 ・証人2名が同席署名要 |
(2)自筆証書遺言+保管制度 | ・費用は4,000円 ・何回訂正しても無料 ・保管証+写真 ・誰かが内容証明申請すると、指定者へ通知可 ・法務局が要件確認 ・裁判所の検認が不要 | ・自分で手書押印要 ・地方法務局で申請 ・検索できないので、法務局へ存在確認申請要 ・保管証がみつからないと証明書取得に時間 |
(3)自筆証書遺言 | ・費用は0円 ・何回訂正しても無料 | ・裁判所の検認が必要 ・無効になるリスク ・探すのが大変 |
(4)秘密証書遺言 | ・費用は0円 ・何回訂正しても無料 | ・裁判所の検認が必要 ・無効になるリスク ・探すのが大変 |
私のお勧めは(1)(2)を、行政書士に依頼していただいて行うことです(費用は掛かりますが安心です‼)。少なくとも初回は依頼することをお勧めします。
では、いつから始めるのが良いか?
難しいところですが、70歳になるまでに、財産目録を作成+生まれてからの戸籍(含改製原戸籍)を入手する。80歳までに財産目録を見直し遺言書を作成するイメージでしょうか?相続税対策はもっと早いほうが良いと思います。
病気のある方は、もう少し早めでもよいかもしれません。健康な方でも何があるか分からない世の中ですので、ご一考ください。
ではでは!